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東松山市立図書館

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「第3回ビブリオバトル ーティーンズおすすめの1冊ー」を開催しました。

12月23日、松山高等学校、松山女子高等学校、東京農業大学第三高等学校の生徒が「おすすめ本」を発表するビブリオバトルを開催しました。今年のチャンプ本は果たして!?

ビブリオバトルの流れ

1 高校生バトラー(発表者)が、自身の「おすすめ本」を紹介します(1人につき5分)
2 それぞれの紹介の後には、観覧者が参加できる2分間の質問タイムがあります。
3 すべての発表が終わった後、会場の全員が1人1票ずつ「一番読みたくなった本」に投票します。
4 最後に、チャンプ本(最も多くの人が読みたいと思った本)を決定して表彰します。

会場の様子

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高校生達の熱い発表を観ようと、たくさんの観覧者が詰めかけました。
今回は、観覧者間の距離を確保するため、座席数を限定して開催しました。

バトラーによる発表


『おかんメール』 おかんメール制作委員会 編 扶桑社

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 皆さんはどんな時に本を読みたいと思いますか?私は、嫌なことがあったときに、自分の世界に入り込んで嫌なことを忘れるために本を読みます。そんな時に私が図書館で見つけたのがこの本です。
 この本は、日本各地でやり取りされているメールの面白い所を切り取って集めたもので、クスッと笑える内容になっています。笑顔は幸せを呼び込むと言われているように、この本を読むと、いいことが舞い込んできた気分になります。
 私が面白いなと思ったところは、サンタクロースが今年来るかどうかを息子に聞かれた母から息子へのLINE「来ない。サンタは死にました。」、姉の出産に立ち会った母から息子へのメール「出た。オス。」などです。
 この本を読むと、実際に自分の母や祖母にメールやLINEを送りたいなと思えます。そんなことを考えているうちに嫌なことを忘れていきます。
 ひとつだけデメリットがあります。この本は面白すぎるので電車の中で読むのは要注意です。私は電車の中でクスッと笑ったら周囲から白い目で見られました。本当に面白い1冊です。ぜひ手に取ってみてください。


『河童』 芥川 龍之介 著

バトラー2.JPG 芥川龍之介の命日7月24日は『河童忌』と呼ばれています。それは、芥川龍之介が晩年に書いた『河童』という作品が由来となっています。この作品は、人間社会を風刺し批判しています。また、芥川が自殺した動機として最も重要と言われています。
 あらすじは、主人公が河童を追いかけると穴に落ち、目が覚めると河童の国におり、色んな河童と出会うなかで河童の国の風習や文化を知るというものです。
 また、この作品は、精神病患者の話を聞き手が筆記するという構造になっています。
 おすすめするポイントの一つめは、河童の国の仕組みです。河童の国では、胎児が生まれてくるかどうか自分で選ぶことができます。また、悪い遺伝子を撲滅するために健全な河童と不健全な河童との結婚を推奨したり、解雇した工場の職員の肉が食事に出てきたりします。貧乏人が資本家に搾取される、労働者階級の女性が体を売ることでお金を得るといったことは、人間社会でも同じだと思いませんか?河童の社会を描くことで人間社会を批判する作品となっています。
 おすすめするポイントの二つめは、河童の国の話を本当だと思うか嘘だと思うかは、読者が決めることになっている点です。精神病患者の主観と聞き手の客観という二重構造により、主人公が本当に河童の国にいったかどうか、読者が決めることができます。また、副題には「どうかKappaと発音して下さい。」と書かれています。物語の中で河童という言葉は出てきません。これが芥川からのメッセージであり、聞き手が書くことだけが本当ではないということです。
 難しい話のようですが、ただ単純に読むことで楽しめると思うのでぜひ読んでみてください。


『クスノキの番人』 東野 圭吾 著 実業之日本社

バトラー3.JPG 刑務所にいる主人公の玲人が出所し、伯母である千舟をとおしてクスノキの番人になります。クスノキの番人という職務を最後まで貫き、玲人、千舟、会社組織、クスノキの関係が徐々に明らかになっていく壮大なストーリーです。
 注目するポイントは三つです。一つめは玲人と伯母の関係、二つめは会社組織とクスノキの関係、三つめは玲人がどのように社会に貢献していくかです。
 この本を何回読んでも、東野圭吾さんが何を伝えたいのかよくわかりません。でも、そのよくわからないことが本の魅力を伝えてくれます。困難にぶつかった時、挑戦しなければならない時、自分がどのように乗り越えるか、自分をどのように強くしていくか、という思いを抱かせる本です。クスノキの神聖さとそれにまつわる人々の大きな繋がりが描かれています。語るに語りつくせない魅力をみなさんに味わっていただきたいと思います。


『夢をかなえるゾウ 4』 水野 敬也 著 文響社

バトラー4.JPG 皆さんは自分がいつ死ぬかわかりますか?多くの人がわからないのではないでしょうか?なかなか考える機会はありませんが、いつも身近にあるので考えてほしいと思います。この本は、死について考えるきっかけを与えてくれます。夢をかなえる方法と夢を手放す方法も教えてくれます。
 主人公は平凡な会社員で、健康診断で余命3ヶ月を宣告されます。残された時間で家族に1億円を残すという夢をかなえるため、ガネーシャ様という神様が出す課題を乗り越える話です。この課題が、皆さんの人生にも役立つ課題となっており、とても簡単ですぐにできます。
 例えば、「健康にいいことをする」という課題があります。自分の体調を管理することは自分の行動を管理することであり、どんなに厳しい夢でも自分の行動を徹底して管理できればかなえることができるというものです。ガネーシャ様は根本的な説明もかねて夢のかなえ方を教えてくれます。
 また、この本は、夢の手放し方も教えてくれます。なぜ夢を手放さなければならないのでしょうか?著者の水野敬也さんは、「すべての人の目的は幸せになることであり、夢をかなえることはひとつの手段に過ぎない。夢が人を苦しめているのならその夢を手放さなければならない」と記しています。
 死を直視することが生を輝かせるというのがこの本のテーマになっています。自分がいつ死ぬかわからないからこそ、やりたいことをすぐにやる、夢をかなえるためなら努力を惜しまない覚悟を与えてくれました。この本は、きっとあなたの人生を変えてくれます。ぜひこの本を読んで人生を変えてみてください。


『神様の御用人 第1巻』 浅葉 なつ 著 KADOKAWA

バトラー5.JPG 正月といえば皆さん何をしますか?初詣に行く人は多いと思います。初詣に限らずお願いごとをするために神社に行ったことがある人がほとんどだと思います。この本は、いつも私たちからお願いごとをされる神様の側にスポットライトを当て、神様の願い事をかなえる御用人となった良彦が東奔西走しながら色々な神様の願い事をかなえる話です。
 この本を推すポイントを三つお伝えします。
 一つめは、主人公は特別な人間ではないことです。主人公は特に宗教にこだわった生活はしておらず、器が大きい人間でもない、ちょっとダメな人間です。ですが持ち前の素直さや優しさで神様の願いをかなえ、その過程で信頼され、大切な思いに気づいて成長していきます。
 二つめは、神様のキャラが濃いことです。この本には、女性が大好きですぐにプロポーズする神様や、お酒が大好きで怒るとものすごく恐い神様などが登場します。しかし変な所だけでなく神様らしい威厳に満ち溢れた姿もありギャップがあります。このギャップのおかげで、普段遠い存在のように感じる神様を身近に感じられます。
 三つめは、狐の神様の存在です。狐の神様は最近まで隠居生活をしていたので、電車が馬より速いことを知りません。また、甘いものが大好きで、そのことを必死に隠そうとしますが隠しきれていません。狐の神様と主人公との楽しいやり取りが、シリアスなストーリーの中でも私たちの心に入ってきます。
 この本は、笑いあり涙あり学びあり恋ありの楽しい1冊です。どんな気分の時でもマッチします。特別な力も道具もない人間が神様たちにできること。そこには温かい絆がありました。皆さんぜひ読んでみてください。


『むかしむかしあるところに、死体がありました。』 青柳 碧人 著 双葉社

バトラー6.JPG 中学生の朝読書向けの本を持ってきました。タイトルから昔話を連想します。昔話といえば、めでたしめでたしで終わりますが、本当にめでたしが続くのでしょうか?そんな「めでたしの後」を描くのがこの本です。
 全5作入っています。一寸法師、花咲かじいさん、鶴の恩返し、竜宮城、鬼ヶ島をもとにした話が入っています。
 一寸法師の話は、一寸法師が鬼を倒して打ち出の小槌で大きくなってお姫様と結婚した後を描いています。結婚後、検非違使(警察官と裁判官が混ざったしたような職業)がやってきて、ある村で殺人事件が起きたことを告げます。殺された人はお姫様の父親の隠し子で、一寸法師にとっては都合がいいので、犯人は一寸法師なのではないかと疑いが浮上します。しかし、殺人事件の時、一寸法師は鬼の腹の中にいました。そこでトリックのカギとなるのが打ち出の小槌です。この世界観のなかでこそできるトリックが魅力です。
 また、意外な結末となっているので、結末をわかってから読み返して伏線を知るのも魅力です。いろんな読み方ができます。
 この本の魅力は、昔話とは違う人間性が出ているところです。たいていの昔話は人間のドロドロした欲深さがあまり出てこず、キャラクターはあまり感情的になりません。しかし、この話には人間性が出てくるからこそ楽しめます。主人公に自分を重ねることもできます。
 また、色んな視点で書かれています。たとえば花咲かじいさんでは、死んだ犬の視点で書かれています。鬼ヶ島では鬼の視点で書かれています。一寸法師ではお姫様の警護をする者の視点で書かれています。色々な視点で読むことで、通常の昔話とは違う楽しみ方ができます。
 ミステリーの要素もあるのでミステリーが好きな人にもおすすめです。人間性を求める人にもおすすめです。朝読書にもぴったりです。

結果

来場者による投票では、どの本にも支持がある中、東京農業大学第三高等学校の藤悠季乃さんが発表した『神様の御用人 第1巻』が見事チャンプ本に選ばれました。
おめでとうございます!

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藤さんには、東松山市立図書館長より、表彰状とトロフィーが授与されました。

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バトラーの皆さんは、互いに健闘を称え合いました。
ご協力いただいた松山高等学校、松山女子高等学校、東京農業大学第三高等学校の皆様、観覧者の皆様にお礼申し上げます。

今回、高校生に発表していただいた本は、市立図書館1Fの特設コーナーで紹介しています。ぜひ手に取ってみてください!