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東松山市立図書館

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「第4回ビブリオバトル ーティーンズおすすめの1冊ー」を開催しました。

12月22日、松山女子高等学校、東京農業大学第三高等学校の生徒が「おすすめ本」を発表するビブリオバトルを開催しました。今年のチャンプ本は果たして!?

ビブリオバトルの流れ

1 高校生バトラー(発表者)が、自身の「おすすめ本」を紹介します(1人につき5分)
2 それぞれの紹介の後には、観覧者が参加できる2分間の質問タイムがあります。
3 すべての発表が終わった後、会場の全員が1人1票ずつ「一番読みたくなった本」に投票します。
4 最後に、チャンプ本(最も多くの人が読みたいと思った本)を決定して表彰します。

会場の様子

1.会場 - コピー.JPG

高校生達の熱い発表を観ようと、たくさんの観覧者が詰めかけました。

バトラーによる発表


『ぼくらのロストワールド』 宗田 理 著 ポプラ社

2.ぼくらのロストワールド.JPG

 皆さんは修学旅行は楽しみでしたか?私は楽しみで仕方がありませんでした。実はあるクラスでは、クラスの3分の1の生徒が「めんどくさいから修学旅行に行きたくない」という声を上げたのです。そんなクラスが登場するのが「ぼくらのロストワールド」です。「ぼくらの七日間戦争」シリーズの24作目で、「ぼくらの七日間戦争」の主人公の菊地英治たちが高校3年生になった時の話です。菊地英治の友達の弟・妹が通う中学校に「修学旅行を中止しないと自殺する」という脅迫電話がかかってきます。学校は犯人を調べますが、中学3年生のクラスではどのクラスにも3分の1以上「めんどくさいから修学旅行に行きたくない」という生徒が現れます。弟・妹から相談を受けた英治たちは、この問題を解決していきます。
 この本の熱いポイントは、菊地英治たちが熱いところです。私はこの本を読んだとき、読む手が止まらなくなって、読み終わったあと体中を汗が流れていました。それぐらい熱い思いや仲間と一緒に何かやりたいという思いを伝えてくれます。今の中学生・高校生は、みんなと一緒に何かをやることに消極的ですが、菊地英治たちは中学1年生の頃から変わらず、仲間たちと熱い思いを持って大人たちに対抗していったり、仲間と大きな事柄に挑んでいったりします。そういう姿が胸に焼き付きます。熱い思いを取り戻したい方は、是非この本を読んでみてください。


『体育館の殺人』 青崎 有吾 著 東京創元社

3.体育館の殺人.JPG この本は、学校の旧体育館の舞台袖で起きた密室殺人を描いています。
 この本のおもしろいポイントの一つめは、探偵役である裏染天馬のキャラクターが濃いことです。裏染天馬は、テストは全教科満点なのに授業中は居眠り。学校に住んでいるという噂もあります。また、裏染天馬はとてもダメな人間で、めんどくさいことはしません。部屋の中はゴミだらけで、アニメやマンガ、ゲームのグッズが散らかっています。
 二つめは、現場に残された遺留品です。旧体育館のトイレの中に置いてあった、新品同様の黒い紳士用の傘がポイントになっています。事件発生時、外は大雨が降っていたので、傘を使用して旧体育館内に入ったことは間違いないでしょう。事件が発生したのは、授業終了直前です。では、なぜ傘はトイレの中にあったのでしょうか。犯人はなぜ旧体育館のトイレを使ったのでしょうか。校舎のトイレが開いていたはずです。さらに、犯人だと疑われている卓球部の部長は女性です。自分の傘を持っているのにもう1本傘を持っているのも、紳士用の傘を持っているのも不自然です。
 三つめは、推理の過程です。仮定・検証・結論の順になっていて、数学の証明の問題に似ています。また、探偵や犯人に特殊能力も現実離れしたトリックもなく、当たり前の事実から真相が導きだされます。一見難解ですが、単純な事実の折り重なりでできていることで、読み終わってあと私は悔しく思ってしまいました。皆さん、この謎を解けそうですか?実はヒントはもうお伝えしました。この本を読んで謎を解いてみてください。

『かがみの孤城』 辻村 深月 著 ポプラ社

4.かがみの孤城.JPG

 この本は、私の人生を変えてくれたと言っても過言ではない本です。
 この本の主人公は、こころという学校にも家にも居場所がない中学生です。そんなこころが、家の中で息を殺してテレビを見ていたときに鏡が光り、その鏡に手を触れただけで中に引き込まれていきました。引き込まれていった先は、童話に出てくるような綺麗で広いお城です。このお城に招き入れたのは狼の仮面をかぶった不思議な女の子でした。そして、集められたのはこころの他に6人の中学生でした。こころたち7人は、狼様に「お城の中の願いを叶えてくれる部屋の鍵を見つけなさい。ただし、叶えられる願い事は一つ。その願い事を叶えた瞬間、みんながここにいた記憶は消え、お城にも入れなくなる」と言われ、鍵を探し始めます。お城には、指定の時間を過ぎてお城にいると狼様に食べられるというルールがあり、仲間の一人がそのルールを破ってしまいました。こころたちは協力して仲間を助けます。その時に使った願いとは、そして、みんなの記憶が消えてしまう前に記憶を繫ぎとめるためにした努力とは、何でしょうか。
 この本はたくさんの伏線が張られていて、一回読むだけでは拾いきれません。ページ数が多いですが、何回も時間をかけて読むことですべての伏線を回収し、最後には自然と涙が出てくるような作品です。その涙は悲しい涙ではなく、これからの人生や学校生活の中で自信となってくれる輝かしい涙でした。皆さんの中にも生きづらさを抱えている人がいるかもしれませんが、私はこの本を読んで人生が変わったので、きっと皆さんの人生や考え方も変わると思います。皆さんの心に響くことを願っています。


『ユリゴコロ』 沼田 まほかる 著 双葉社

5.ユリゴコロ.JPG この本の主人公は、喫茶店を経営している男性です。婚約者が失踪し、父親は末期の癌と申告され、母親は交通事故で亡くなってしまいます。この主人公が父親の書斎からノートを見つけます。ノートの題名は『ユリゴコロ』。内容は、幼い頃から殺人を繰り返してきたある女性の告白文でした。この女性はユリゴコロを探すことが難しく、幼いながらに葛藤を抱いていました。やっと見つけたユリゴコロが殺人でした。この女性は、過去の過ちをノート4冊に書き連ねていました。このノートは誰が書いたのか、なぜ父が持っているのか、書かれていることは事実なのか空想なのか、主人公はこのノートの謎を解き明かすために奔走すると同時に、失踪した婚約者の捜索も続けていきます。
 この本の好きなところを三つ紹介します。一つめは、ハラハラドキドキが止まらないことです。内容が濃く、場面展開が速いので、気づいたら読了していました。二つ目は、残忍な殺人の物語を美談で終わらせないところです。殺人をテーマにしている小説の中には、犯人が犯した過ちを棚に上げて同情を引き出すような物語がありますが、この本は読者に対して殺人への同情を引き出すようなことはありません。三つめは、結末がまったく予感できないところです。死期が近づいている父の最後の言葉、主人公が幼い頃に忘れてしまった真実、隠された愛、今まで疑問だったモヤモヤが一つの線で繋がった時、皆さんは息を呑まずにはいられないでしょう。
 ユリゴコロという言葉の意味は、私からは答えを言えません。皆さん一人一人が心の中に持っている、とても大切なものです。このユリゴコロが何なのか、自分なりの解釈を持ってほしいと思います。


『ライオンのおやつ』 小川 糸 著 ポプラ社

 ライオンのおやつ.JPGライオンとは、私たち人間が最期にあるべき姿です。百獣の王ライオンは、何も恐れずゆっくり食事をとることができ、良質な眠りをとることができる。このライオンこそ、人間が死ぬ前にありたい形であるということなのです。そんな単純で最上な幸せを再認識させられ、生きていることに感謝の気持ちでいっぱいになる1冊です。私は平凡な毎日がうっとうしくなることがありますが、平凡な毎日がどれほど幸せか、この本は教えてくれました。
 主人公の雫は33歳女性で独身。癌で余命宣告を受け、治療をせず穏やかに過ごしたいという希望を抱いてあるホスピスに入所します。それが「ライオンの家」です。何も恐れずゆっくりと食事をとって良い睡眠をとることができるのでライオンの家という名前になったそうです。常に自分を犠牲にし、いい子を演じてきた雫は、入所してからはありのままの自分を出して、わがままに過ごすことにしました。そうすることで、もっと生きたいという気持ちに気づき、死を受け入れることができました。また、ホスピスで出される食事は、食べると「幸せ~」と声が漏れるような手の込んだ優しい料理で、「この食事を明日も食べるために生きよう」という活力になります。食べることは生きることなのです。また、ライオンの家では、日曜日に患者のリクエストが採用されます。それは死ぬまでにもう一度食べたいおやつです。患者はいつ自分のおやつが採用されるかを楽しみに過ごします。父のために初めて作ったケーキ、亡くなった母が作ってくれたおはぎ、学生最後の貧乏旅行で一人で食べたカヌレ。おやつにはその人の人生の歩みが詰まっています。
 ここにいるほとんどの人にとって、明日が来ることは当たり前だと思います。実はその当たり前が最大の幸せだということに気づき、一日一日を大切に過ごし、困難を乗り越える醍醐味を楽しみながら生きることが私たちがするべきことだと感じました。最後に、皆さんにとってライオンのおやつは何でしょうか?私はまだ決められません。これからの人生を大切に過ごしてライオンのおやつを見いだしていきたいです。


『日日是好日』 森下 典子 著 飛鳥新社

7.日日是好日.JPG

 「日日是好日」とは、毎日をいかにいい日と捉えるか、という意味です。著者の森下典子さんが茶道をとおして感じたことを綴っている本です。茶道というと「作法が多く堅苦しい」とイメージする人が多いと思いますが、この本を読むとそんなイメージが変わります。皆さんに茶道の楽しさを知ってもらうため、この本の好きな点を二つ紹介します。
 一つめは、季節と天気です。「暑い日はいやだな」「寒いし雨降ってるからテンション下がるな」という感情をいかに楽しむか、いかにいい日と捉えるかが大切です。夏の暑い日は掛け軸の滝のような絵がお茶席全体を涼しくしてくれます。また、茶碗は、冬は口が小さくてお茶が冷めにくい筒茶碗を、夏は口が大きくてお茶が冷めやすいような平茶碗を使います。季節によって茶碗が変わるのでひとつひとつ作法を覚えるのが大変です。でも、それが茶道の楽しさです。
 二つめは、五感で楽しめることです。お茶席は狭くてシンプルな部屋です。そのため、風の音や雨の音、外を歩いている人の音、作法の音がよく聞こえます。皆さんは夏と秋の雨の音の違いを聞いたことがありますか?夏の雨は若い元気な葉っぱに当たってポツポツというかわいい音がします。秋は土にしみ込んでいくような寂しい音がします。このように、茶道をやっていると色々な音を感じることができます。また、お湯を沸かすための炭火の匂いが、お茶席が始まった時と終わった時では変わっています。そういう視覚や音、においなどを五感で楽しむことができるのも茶道の魅力です。
 私は5年間茶道をやっていたので、この本を読んで共感できることがたくさんありました。茶道でしか経験できないこと、やっていてよかったなと思うこともありました。皆さんもこれを機に茶道に興味を持ってくれたらうれしいです。

結果

観覧者による投票では、どの本にも支持がある中、松山女子高等学校の下田百々花さんが発表した『ライオンのおやつ』が見事チャンプ本に選ばれました。
おめでとうございます!

9.チャンプ本単独 - コピー.JPG

下田さんには、東松山市立図書館長より、表彰状とトロフィーが授与されました。

10.集合写真.JPG

バトラーの皆さんは、互いに健闘を称え合いました。
ご協力いただいた松山女子高等学校、東京農業大学第三高等学校の皆様、観覧者の皆様にお礼申し上げます。

今回、高校生に発表していただいた本は、市立図書館1Fの特設コーナーで紹介しています。ぜひ手に取ってみてください!